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クリーンプロデューサー植木照夫

トップ>連載企画>第1回 はじめに

連載企画:健康住宅・掃除がラクな家の構想案

はじめに

■ 掃除 = 健康 = エコロジー
掃除とは、衛生的な環境を確保するための行為であり、使い続けることはエコロジーでもある。とくに、住まいが衛生的に保たれるということは、居住者の身体だけでなく、精神的にも癒されて健康的な生活環境となる。このことからも、掃除は人が快適に暮らしていくために大切であり、大人~子供まで生涯に渡り日常的に関わることになるものである。

気密化が主流となる近年の住宅では、様々な掃除の問題が居住者を悩ませており、ライフスタイルの変化に伴う掃除の負担やアレルギー問題など、室内環境の改善を行うため掃除の専門業者に依頼するケースは年々増えている。

また、世界的にエコロジーな社会を目指す現代、長く使い続けるための掃除・メンテナンスはとても重要なことである。掃除メンテナンスが行き届いた建物は、耐久性能が向上して建築物を強力にサポートすることになる。


ちなみに、建築物清掃業界では “掃除” とはあまり呼ばず、清掃及びメンテナンスと呼ぶことがほとんどである。基本的にはビルなどを対象としているためビルメンテナンスとも呼ばれている。
しかし、一般的には清掃やメンテナンスという言葉よりも、掃除と呼ぶほうが身近で親しみやすいということから、掃除=清掃及びメンテナンスということで話を進めていく。

私も十数年以上現場で掃除をしてきたが、現場の声とはなかなか世間に伝わらないものである。
掃除業者にもいろいろあることや、掃除がラクなものと大変なものがあることや、居住者(使用者)からの要望やその解決策など、もっと多くの人に知ってもらえば、建物や掃除現場の環境も向上すると考えていた。しかし、現場で掃除をしていても現状は変わらないので、モップをもつ代わりにペン?を持ち掃除をすることにした。
建物と掃除の研究を行い、掃除の基礎知識や現場の意見などを採り入れた企画を作り、メディアなどを通じて情報発信する事で、現場の声がより多くの人に伝わるからである。そして、その情報が一人でも多くの人の掃除に対する問題解決になればと考えている。

■ 掃除の専門家:クリーンプロデューサー
掃除の専門家という言葉は一般的に聞き慣れていないと思う。私自身もあまり聞かない言葉である。個人的な意見となるが、私の考える掃除の専門家とは、掃除の現場経験も豊富で技術もあり、掃除の国家資格を取得することで基礎知識を身につけた者である。もちろんそれ以外にも掃除の専門家はあると思うし、すでに活躍されている方もいるのだと思う。

しかし、もっと実際の現場を知っている掃除の専門家が活躍できる環境はあると考えている。それは、清掃作業員としての業務にとどまらず、掃除専門家としての知識や現場経験などを活かして、掃除をプロデュースする立場に就く 「クリーンプロデューサー」 という新しい職業ジャンルともいえる。
私は、清掃実務経験十数年、ビル~住宅、設備機器~家具や家電など様々な物を掃除してきた中で、「もの」には掃除がラクなものと大変なものがあることを知っていた。そして掃除現場などで最適な作業方法を考えている時など、 「作るときにもっとこうすれば掃除がラクになるのに」 とたびたび感じていたのだ。
この先、建物を作る側の人たちがもっと掃除について知り、現場の声などを取り入れた建築をすれば、今まで以上に掃除がラクになるのである。

建築物に限らず、家具、電化製品、自動車、その他、人工的に生産し継続的に使用していく物であれば、必ず「掃除・メンテナンス」が必要になってくる。「掃除・メンテナンス」を考えて作られた製品は、衛生的で長く使う事のできるエコプロダクツともなる。
今後、掃除の専門家であるクリーンプロデューサーが建築構想や新製品の開発段階から関わることで、創り出される製品は掃除・メンテナンスのしやすいものになると考えている。

近い将来、様々な企業や業界に携わるクリエーターとのコラボレーションにより、日本の街やモノの掃除がラクになり、社会は今よりもっとキレイになるのでは? と勝手に想像している。

Clean Producer 植木照夫

*連載は不定期(なるべく月1回以上)で更新していく予定。
(*ちなみに、企画内のイラストや画像なども私の作品)
また、日経ホームビルダーで行っている連載は(2008/09/22発売10月号~)、この構想案の1部から抜粋した内容となっている。

連載目次